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<Kのつぶやき>再び注目される“トロピカルウール” ― 時代を超える素材の力

  • 2024年5月28日
  • 読了時間: 3分

かつて、日本のファッション業界を席巻した“DCブランドブーム”。“DCブランド”とは、「D=デザイナー(Designer)」「C=キャラクター(Character)」の略で、1980年代に日本で流行したファッションデザイナーや企業によるブランドを指します。当時、若者たちはこぞってDCブランドの服を購入し、ファッションを楽しみました。雑誌やファッションビルには熱狂する若者たちがあふれ、黒を基調としたコーディネートに身を包んだ人々は“カラス族”と呼ばれることもありました。まさに日本のファッションが世界中から注目された時代であり、日本のファッション史において特別な存在感を持つカテゴリーです。

この時代の洋服には、非常に贅沢な素材が多く使われており、ほとんどが国内のテキスタイルメーカーによって生産されていました。70年代に続き、日本の素材産地も「織れば売れる」時代だったのでしょう。私自身、多感な時期をこのブームの中で過ごし、今でも当時の洋服のいくつかは捨てられずに手元に残っています。特に、私が憧れたメンズスタイルのひとつが、“デカ襟”に“おでこ靴”を合わせた、まるで道化師のようなコーディネート。このスタイルではシャツや靴に目が行きがちですが、アウターにはブルゾンではなくジャケットを合わせるのが主流でした。真夏でもウールのジャケットを普通に着ていたのは、当時の夏が今ほどの酷暑ではなかったからかもしれません。

このジャケットに使われていたのが、当時“トロピカルウール”と呼ばれていた素材です。現在では“サマーウール”とも呼ばれていますが、これは細いウール糸を平織りにした薄手の生地で、通気性が良く吸湿性にも優れており、夏でも快適に着用できるのが特徴です。

なぜ今、“トロピカルウール”を取り上げるのか?

しばらく耳にする機会が減っていたこの素材ですが、昨年あたりから海外のハイブランドを中心に、再び注目されるようになっています。店頭でジャケットを見ていると、品質表示に「Tropical Wool」や「Wool Tropical」といった文字を頻繁に見かけるようになりました。先日も、某海外ハイブランドのパンツに心惹かれたのですが、その素材も“トロピカルウール”でした。

日本国内だけでなく、海外でも経験したことのないような“酷暑”の夏が続く昨今、合成繊維の付加機能だけでなく、天然素材が本来持つ機能に改めて注目する動きが出てきています。服は「第二の皮膚」とも言われる存在。快適さを求める中で、素材本来の特性を再考し、活用していくことはとても重要だと感じます。一時的なブームではなく、素材が持つ本来の機能を深く掘り下げ、適材適所で使用することこそが、持続可能なファッションにつながるのではないでしょうか。

this blog written by T.Kanemaki *本ブログは筆者の独断と偏見の元に記載されておりますので、ご了承ください。

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