top of page

<Kのつぶやき>ウールに潜在するサステイナブルの可能性【生分解性編】

  • 2022年4月14日
  • 読了時間: 4分

 今回は、1番の山場です。昨年12月に開催した“Bishu Style 2022”の会場内でもパネル共に開設したウールの生分解性についてかなり深堀した内容を展開していきます。

 ウールは、天然繊維であることは皆さまご存じかと思いますが、多くの天然繊維は、「動物性」と「植物性」に分類することが可能です。衣料品に使用されるメジャーな素材の中での「動物性」天然繊維は、ウール(希少な獣毛も同じことが言えます。)とシルクになります。ここでは、ウールならではの生分解性と生分解が行われることで、どのような効果がもたらされるかを記載しております。有国家資格者(化学系)へも検証を行った事象ですので、細かな条件等は除外した概念的、理論的には有効な内容となっております。化学、生物学、海洋学の見地からの展開になりますので、予めご了承ください。

【生分解性】 「生分解性」と昨今では繊維業界のみならず、よく耳にする言葉ですが、はたして「生分解性」とは?「生物分解性」とも言われ、物質が微生物(バクテリア等)などの生物の作用により分解する性質のことを指しています。もう少し生物学的に言うと土中や水中の微生物が高分子化合物を分解し無機物にすることを指している。 よく「無害」であることをアピールするためにCM等でも使用されますが、天然繊維であるウールは、「もともと天然のものだから当たり前なのでは?」と思われる人も多いかと思う。おっしゃる通りで天然のモノは天然に還るということなのだ。なので、このカテゴリーではどのように分解されていくのかという深堀を行って行こうと思う。メジャー天然原料の中でも動物由来繊維であるからこそ意味のある生分解性についての深堀考察になります。 まずは簡単にウールがどのように循環するのかを図式にしましたので、ご覧ください。

<羊毛から綿・糸(図①~②)> 羊毛の繊維は人毛同様に “ケラチン” と呼ばれる天然タンパク質から出来ており、タンパク質は何種類ものアミノ酸がつながって出来ています。また、夏季に体温上昇が起きますので刈り取った方が羊の体調管理にも有効と言われることもあります。原料が動物性ということもあり、元々油分の多い繊維ですが、紡績により油分を落とす工程のみで油分の調整ができ適度な油分を含む羊毛は糸にしやすいと言われています。 【羊毛の主な元素】炭素・窒素・酸素・水素

<糸からテキスタイル(図②~③)> 天然繊維がある故に伸度があるために、糸が切れにくく、製織の際の取扱いがしやすいという利点もあります。

<テキスタイルからガーメント(図③~④)> 天然繊維がある故に伸度があるために、縫製しやすく、ウールの特徴として、撥水・吸放湿の機能を備えています。

<ガーメントから土(図④~⑤)> 副資材、縫糸等を仕分けし、ウールのみにした場合に原料となる“羊毛” が動物性天然繊維であることで、土に戻すことで他の原料との違いが生まれてきます。

<土から良好な土壌(図⑤~⑥)> ・天然繊維は、土壌の中に含まれる菌やバクテリア等の微生物の活動により分解 されます。 ・タンパク質は土の中で菌・バクテリアにより分解され植物に吸収されやすい形になり ます。分解に寄与するのが菌やバクテリアの活動を活性化するために高温・多湿の状況 だとより分解が促進されます。 【タンパク質分解による主な栄養素】窒素、硫黄、マグネシウム ・土に埋められたウールは、他の生物が成長するための栄養素を提供し、緩効性肥料に なります。 ・土壌にウールを混ぜることによる有益な効果として、土壌の保水力の向上や水浸透性 の改善、土壌通気性、浸食の減少等が挙げられます。これは、植物や作物が成長する のに最善と言われる「団粒構造」を生成するのに必須な「固層・液層・気層」を形成 することに役立ち、特に羊毛のタンパク質分解時に発生する窒素が土壌循環の一助を 成すことになります。 ・ウールは、生分解されることにより、自然の炭素・養分循環の一部として生物の成長 に使われています。

(上記図式の要約)ウール循環の要は羊毛のタンパク質分解による土壌への養分補給! ウールを土に還すことで、窒素等の土壌有機物となり、同じく土壌にいる微生物のエサ になりさらに分解されていきます。この微生物が増殖と死滅を繰り返し、その死骸その ものも別の微生物のエサになり・・・と循環利用され、最終的にはアンモニアや硝酸等 の無機態窒素となり、植物・作物の成長促進の一助を成しています。この成長が促され た牧草を食べた羊が元気に育ち、羊毛を生やしていくのです。

<注目キーワード> ・バクテリア分解 ・団粒構造 ・窒素 ・タンパク質 ・循環 ・植物への養分を生成 ・生分解性 ・ケラチン

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~《各編での全ての参考文献》・Wikipedia HP・環境省 HP・コトバンク HP・化粧品原料事典 HP・ザ・ウールマーク・カンパニー HP・鈴憲毛織(株)HP・繊維学会誌 第75巻 第10・(株)トーア紡コーポレーション  HP・ヤンマーホールディングス(株) HP~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

this blog written by T.Kanemaki *本ブログは筆者の独断と偏見の元に記載されておりますので、ご了承ください。

コメント


bottom of page