<Kのつぶやき>ジェンダレスでも変わらないもの
- 2022年2月1日
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昨今のファッション業界では、だいぶジェンダレスが一過性の流行ではなく定着しつつある。ファッション感度の高い人は、昔から普通に女性がメンズを、男性がレディスを身に着けていた。売場でも視線を感じる一方で、「それが何か?」のような寄せ付けないオーラと共に自分に合うものをセレクトしてきたと思う。もう10年くらい前だろうか、コレクションシーンにもレディスのショーにメンズモデルが、メンズのショーにレディスモデルが登場し、全面にジェンダレスを打ち出し始めたが、なかなか一般消費者にまで浸透するのには時間がかかったように思う。ところがだ、これも2年くらい前あたりから、ユニクロ等の特段、ファッション性を重視するよりも素材感や機能性、価格を重視する消費者が洋服を買うショップにおいてもジェンダレスを謳い始めた。こうなると状態は一変することになる。まさにファッションにおいてのジェンダレスが市民権を得ていくのだ。全国展開するショップの存在感とはこういう場面で実感する。
ただ、、、ジェンダレスと言っても、ベース(レディス寄りなのか、メンズ寄りなのか)があって、それをジェンダレスで着用可能にしている洋服が現段階ではほとんどではないかと感じる。着丈や袖丈等は、スタイリングの仕方、着用する人の体型などで、ある意味セレクト次第な部分があるが、今もなお、変わらないモノがあると気づく。
筆者もこの部分において、レディスのジェンダレスアイテムで着用しづらいと感じる。それは、「合わせ」の部分だ。ここで正確な言い方を記載すると
*右前・・・左が上に来る着方 *左前・・・右が上に来る着方 ※言い方と実際が反転しているような表現なので、注意したい点ですが、着用している自分から見て、どちらの 衿が“手前にあるのか?”という考え方にすると解りやすいかもしれません。
古来よりレディス(婦人物)は「左前」、メンズ(紳士物)は「右前」が慣例であり、それは今でも変わらない。特に和装ともなるとこの合わせは、大事であって、和装の場合は、女性も男性も右前にするのが正解とされている。なお、この場合の右前も「左が上」を指しています。<ちなみに左前「右が上」は死に装束となる。>
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レディスジャネット(左前) | メンズジャネット(右前) |
そして、この「合わせ」の違いには諸説あるので、ちょっと書いてみようと思う。
(1)左前から右前への分岐 まずは、そもそも全てが「左前」であったが、奈良時代に女性「右前」になったという話がある。この奈良時代に出された衣服令(えぶくりょう)<養老三年二月三日(西暦719年)に発令>で「庶民は右前に着ること」記されていたようで、この衣服令は中国の思想が影響されているとされ、 中国では右より左の方が「位が高い」とされていたようです。
(2)着てる人の視点 これは、洋服文化である西洋のボタンに関係する話からの説ですが、西暦13世紀頃に洋服を留めるボタンが発明された際に、多くの右利きの人にとって、自分から見てボタンが右側になった方が着脱がしやすいという利便性のために右前になったと言われている。特に男性は、サーベルのような武器を右で抜き差しするために鞘を左側に装着するために、右前の方が理にかなっていたと言われている。このため、この時代は男女問わず右前になったようだが、男性は自分自身で洋服を着ていた一方で、上流階級の女性は召使いにボタンを留めてもらっていたため、召使いがボタンを留め外ししやすいように、女性は左右逆になり左前になったという説がある。同時に召使いに代表される下層社会の女性たちは、昼夜忙しく仕事をしているため、ボタンの留め外しを片手で行う習慣があり、自分自身で洋服を着る女性も左前の方が早く洋服を着脱できるという理由で左前になったという話もある。(女性に関しては、乳児への授乳や、乗馬での横乗り等、様々な説があるようだ。)
由来はともあれ、現在のファッションにおいて、ジェンダレスが進んだ今でも、ボタンやファスナーがあるアイテムに関しては、レディス売場の洋服は「左前」、メンズ売場の洋服は「右前」はそんな変化しているようには思えない。
更なるジェンダレスが進んだ場合、この衿合わせの部分はどのように変化していくのか、興味が尽きない。
this blog written by T.Kanemaki *本ブログは筆者の独断と偏見の元に記載されておりますので、ご了承ください。







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